KMAP(ケーマップ)研究会 代表
片柳亮二博士のホームページです

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 航空機の飛行運動は一見複雑そうに見えますが,解析計算と実際の飛行結果は良く合うことが知られています.我々が力学で習ったニュートンの運動方程式から導かれる6自由度の運動方程式を用いると,3次元空間における微妙な釣り合いで飛行している実際の航空機の飛行を驚くほど精度良く計算することができます.

 私は約31年間,航空機メーカで飛行特性や運動シミュレーションなどの仕事にたずさわりました.その後,13年間,大学にて航空関係の講座を担当しました.44年もの間,好きな航空関係の仕事ができたことに感謝しています.そのような経験から,飛行機に興味がある多くの人が,自分のパソコン内で自由に飛行機を飛ばす楽しさを味わって頂けるように,だれでも容易に飛行理論の基礎を学べ,またシミュレーション実験ができるような教材作りに努力しています.

 以下に設計解析プログラム KMAP(ケーマップ) の概要を説明します.皆さんに使っていただけると幸いです.
----専門は航空機制御,飛行力学----


全般

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----目次----
●設計解析プログラムKMAPについて
 最新バージョンはKMAP116(2018.2.1)です.

●KMAPは何ができるのか

●フライトシミュレータ

●航空機の飛行制御システムについて

●本の紹介

●飛行機に関するセミナー
 ・2017年12月16日(土)(13:00~16:00),名古屋市金山にて実施.
 ・2018年1月20日(土)(13:00~16:00),名古屋市金山にて実施.
 ・次回は未定です.(ご要望等ございましたら→メールアドレス)

●飛行機設計の経験談紹介
 私,片柳亮二は40年以上,好きな飛行機設計の仕事に携わることができ感謝しています.そこで,その経験談の一部をご紹介します.これから飛行機関係の仕事に携わろうとしている若いエンジニアの方の参考になれば幸いです.(下記をご覧ください)

飛行機設計の経験談紹介(片柳亮二)

<★★最近追加した内容★★>
・安全な飛行制御系とは(4)-設計基準に安定余裕が規定されている

・安全な飛行制御系とは(3)-不安定な機体の制御には積分が必要

・安全な飛行制御系とは(2)-根軌跡で極の動きを確認しておけば安心

・安全な飛行制御系とは(1)-飛行制御則をシンプルな構成にすること

・KMAPで簡単に解ける非線形最適化-飛翔体の最適航法

・KMAPで簡単に解ける非線形最適化-変数制約のある非線形関数の最小値

・KMAPで簡単に解ける非線形最制御-非線形システムのフィードバック制御

・KMAPで簡単に解ける非線形最適化-2輪車両の車庫入れ問題

・KMAP法で簡単に設計できる多目的制御-ピッチ角飛行制御系(講演会用)

・KMAPゲイン最適化による多目的飛行制御設計3-安定余裕要求を満足するピッチ角制御系
Multiobjectiveblockfigy170928

Multiobjectivey170928_2

・曲線経路に対応した横・方向系オートパイロット

・技術者必携ツール-KMAPでボード線図を描く


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●設計解析プログラムKMAPについて
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 設計解析プログラムKMAP は簡単に使うことができます.それは,飛行機の運動方程式や空力係数の推算など,これまで難しかった部分の作業はすでに組み込まれているため,ユーザーは解析に集中して作業ができます.また,本ツールは十分な解析精度があることが確認されています.さらに,航空機の飛行制御問題だけではなく,自動車,船,水中ビークル,ロボット,工作機械などの制御問題,また振動工学の解析も可能です.その他,構造物の弾性解析,流体力学の問題,熱の流れの解析,最適化の解析の各種工学解析手法の基礎も例題を通して学ぶことができます.

 特に,制御系解析ツールは技術者にとっては電卓と同じで単なる計算道具です.難しい制御理論は後にして,とにかく使えるようにしておくと便利です.そういう意味で,だれでも簡単に使える制御系解析ツールKMAPの普及活動に力をいれています.

KMAP最新バージョンは左上にある「KMAPのダウンロード」から入手できます.

(KMAPの使い方や例題などを詳しく解説した下記または左上の専用ホームページもご覧ください)
運動解析プログラムKMAPの専用ホームページへ 

 航空機の運動は,3次元空間上において6自由度の非線形運動方程式で表されます.この6自由度運動方程式を理解することは難しいことでありません.しかし,自分で6自由度運動方程式のプログラムを作って航空機の運動を解析することは簡単ではありません.それは,得られた解析結果がほんとうに正しいのか,という判断に困るからです.

 また,最近のほとんどの航空機は,フィードバック制御系を構成して高性能化を図っています.飛行制御系を設計するには,非線形の6自由度運動方程式式を線形化して制御系を含んだ解析プログラムを新に作成する必要があります.

 このように,航空機の飛行制御系の解析およびそれを含んだ6自由度運動方程式の解析は複雑です.これらの複雑な飛行制御系の線形解析および非線形の6自由度運動方程式によるシミュレーションなどは,KMAPを用いるとだれでも簡単に行うことができます.以下に説明するZ接続法により制御系の接続情報をインプットデータに記述するだけで,簡単に解析することができます.KMAPは,1つのインプットデータにより,飛行制御系の線形解析と非線形6自由度運動シミュレーションが同時に解析できる非常に便利なツールです.ぜひ使ってみてください.
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●KMAPは何ができるのか
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■KMAP(ケーマップ)は次のような機能を持っています.

<新機能>Z接続法ゲイン最適化による多目的飛行制御設計(2)
(KMAP113~)
今回次のような多目的飛行制御設計が可能になりました.
  設計目的①:アクチュエータを考慮
  設計目的②:ゲイン余裕,位相余裕の要求値を満足して安定化
  設計目的③:外乱応答のH∞ノルムを下げる

 飛行制御系の設計では,ゲイン余裕および位相余裕がスペックによって要求されています.このような要求を満足する安定な制御系を得るために,H∞制御やLMIによる制御など数学的に複雑な方法が開発されています.ところが,ここで紹介するZ接続法ゲイン最適化による方法を用いると,この種の多目的設計問題を簡単に解くことができます.

 推力ベクタリングによるホバリング飛行の例題にて,下記資料で紹介します.
Z接続法ゲイン最適化による安定余裕要求を満足する多目的飛行制御設計


<新機能>Z接続法ゲイン最適化による多目的飛行制御設計(1)
(KMAP111~)
今回次のような多目的飛行制御設計が可能になりました.
  設計目的①:アクチュエータを考慮
  設計目的②:制御系を安定化
  設計目的③:外乱応答のH∞ノルムを下げる

 多目的飛行制御設計の方法としては, H∞制御,LMIによる制御,遺伝的アルゴリズム(GA)を用いた最適化など各種方法が研究されていますが,いずれも数学的に難解であることから,一般のエンジニアが簡単に利用するにはなかなか難しい方法と考えられます.

 このような多目的設計問題も,ここで紹介する“Z接続法ゲイン最適化”の方法を用いると簡単に解くことができます.Z接続法とは,制御系の各要素の入出力にZ番号を与えて,それらを接続することでフィードバック制御系を構成するもので,フィルタやフィードバックゲインを挿入した複雑な制御系を簡単な操作で構成することができます.

 Z接続法ゲイン最適化法とは,制御系内のフィルタやフィードバックゲインの組み合わせを設定して,制御系における多目的の特性値を計算して最適解を求める方法です.ゲインの組み合わせ設定の方法としては,フィルタやゲインを適当に組み合わせて最適解を求めてもよいわけですが,これでは効率が悪いので,本手法では乱数を用いてゲインの組み合わせを作り,繰り返し計算にて最適な解を求めるモンテカルロ法といわれる方法です.繰り返し回数は100万回ですが,一般的なパソコンで数分程度が解が得られます.

 推力ベクタリングによるホバリング飛行の例題にて,下記資料で紹介します.
Z接続法ゲイン最適化による多目的飛行制御設計


<新機能>要求値一覧表による飛行機の解析自動化
(KMAP106~)

 航空機関連を解析するためのKMAPの操作性を全面的に改良しました.これまで,解析内容の全体がわかりにくい等のコメントもあり,解析項目の要求値等を一覧表として事前に設定する方式にしました.
 実際の解析は,その一覧表のデータを選択して実行させるだけで,解析計算が自動的に行われます.この方式の採用により,解析内容が明確となるとともに,計算実行も途中のキーイン操作がないので簡単になりました.

 
 
 例題が,【航空機の運動解析KMAPの専用ホームページ】の使い方および例題【4】<飛行機の制御系解析>の中にありますのでご利用ください.


<新機能>航空機の飛行制御系の解析が簡単にできる
ようにになりました
(KMAP105~)

 
 これまで,飛行制御系を含んだ航空機の運動解析は,制御則といわれる舵面操舵ロジックをインプットデータデータに組み込む必要がありました.例題のインプットデータをコピーして,それをユーザーが修正して制御則を構築するやり方のみを採用していました.

 一方,飛行制御系の解析は,例えばダンパー機能やオートパイロットなどでは,ロジックは基本的には同じような形式ですので,予め各種パターンの飛行制御則をそのまま利用した方が効率がよく解析でき,ユーザーは簡単に解析作業に入ることができます.

 このような観点から,今回新バージョンKMAP105から,各種のパターンの制御則を選択できる機能を追加しました.詳細は,【航空機の運動解析KMAPの専用ホームページ】の使い方および例題【4】<飛行機の制御系解析>の中に説明がありますのでご利用ください.


<新機能>飛行機の翼理論, 2次元ポテンシャル流厳密解による解析が可能になりました(KMAP104~)
Joukowski_wing11y170205_2
     図(a) ジュコフスキー翼の流線 (迎角10°,ε=0.1, β=10°)

Joukowski_wing12y170205
   図(b) ジュコフスキー翼の翼上の流速 (迎角10°,ε=0.1, β=10°)


<新機能>航空機のスピン運動解析が可能になりました(KMAP101~)
「spin_motion.Y160806.wmv」をクリックすると,スピン運動が再生できます.
Spin_motiony160806
 このスピン運動解析の方法については,上記の「運動解析プログラムKMAPの専用ホームページへ」に説明がありますのでご覧ください.


<新機能>KMAP線図 (ブロック図の自動作画機能)が追加されました(KMAP92~)
Pitch_angle_hold_control_kmapfigy15
        図(a) KMAP線図 (ブロック図の自動作画機能)

 このKMAP線図は,制御系のブロック図(下記の例参照)における信号の流れを,インプットデータとして入力したものを順番に表示したもので,インプットデータにミスがないかを簡単にチェックできます.

Pitch_angle_hold_control_figy150621
        図(b) 航空機のピッチ角制御系ブロック図の例
             (図(a)のKMAP線図に対応するもの)


<以降はKMAPの基本的な機能です>

①飛行機の運動シミュレーション
 機体諸元(重量,慣性モーメント等),空力データ,制御則,パイロット操舵を入力することにより飛行機の運動がシミュレーションできます.

 KMAPによる解析結果は,下記の図のようにExcel を利用して表示することができます.Excel 図は各種メニューが用意されています.(飛行機の三面図も簡単に描くことができます)

Kmap33pry090928

(下図のように飛行機の運動をアニメーションで確認できます)
「Duch_roll.wmv」をクリックすると,
ダッチロール運動が再生できます.

Kmapanimation

「垂直離陸.wmv」をクリックすると,
飛行機の垂直離陸の運動が再生できます.

Vertical_takeoffy130421

「旅客機のホバリング.Y130609.wmv」をクリックすると,旅客機がホバリング後、前進飛行から右旋回する運動が再生できます.
Hovering_of_airplaney130609

 運動解析プログラムKMAPは,飛行機の運動解析,制御系設計解析(古典制御から現代制御まで),飛行機の概念設計(含む空力微係数推算)などの各種解析が可能です.

 例えば,飛行機の運動方程式は知っていても自分でシミュレーションプログラムを作って解析するのは簡単ではありません.たとえ計算できても正しい答えであるかの検証は難しい作業です.KMAPは飛行機の運動方程式は既にプログラム化されていますので,ユーザーは空力微係数,機体諸元,アクチュエータ性能値などをインプットデータとして入力すれば直ちに運動シミュレーションができます.

 また,飛行制御則もインプットデータにより定義することが可能です.KMAPは入門者に理論だけでなく,実際に計算を行うことで理解を深めて欲しいとの考えから開発したものです.ユーザが簡単に使えるように適宜改善しています.


②飛行機の安定性・操縦性解析
 飛行機の飛行特性解析(安定性・操縦性の解析)についての詳細な検討結果が簡単に得られます.安定性・操縦性の解析とは,飛行機の尾翼の設計に対応します.6自由度の運動方程式を解く必要がありますので,これまでは時間のかかる作業でした.KMAPを用いると,性能要求を満足する機体諸元(機体重量,主翼面積等)を求めた後,安定性・操縦性の解析を行い,設計基準を満足するかどうかを表示します.

 具体的には,以下のような解析を行います.
  【縦系の飛行特性解析】 (機体固有および制御系含み)
   ①長周期モードの減衰比と振動数
   ②速度安定の条件
   ③飛行経路安定
   ④短周期モードの減衰比と振動数
   ⑤短周期モードのωsp・Tθ2
   ⑥短周期モードの加速感度n/α
   ⑦短周期モードのCAP (Control Anticipation Parameter)
   ⑧縦静安定と重心後方限界
   ⑨CAPによる重心後方限界
   ⑩離陸引き起こしと重心前方限界
   ⑪転覆角と重心後方限界
   ⑫重心許容範囲と 主脚位置

Y150226

  【横・方向系の飛行特性解析】 (機体固有および制御系含み)
   ①ダッチロールモードの減衰比と振動数
   ②ダッチロールの|φ/β|とζd・ωnd
   ③ロールモードの時定数TR
   ④スパイラルモードの振幅倍増時間T2
   ⑤エルロン操舵時のロール角速度振動
   ⑥ロール性能
   ⑦定常横滑り能力

           定常横滑り能力の例 (横滑り角β=10°)
Y150226_2

 これらの飛行特性解析は,機体固有と制御系含みの2つの場合について,解析結果を表示します.特に,制御系を含んだ場合の飛行特性解析はこれまで難しい領域でしたが,KMAPでは自動的にシミュレーション計算等を行って解析を可能にしました.飛行機設計の時間が大幅に短縮できます.


③飛行機の空力データの推算
  与えられた機体形状に対して空力データを推算して出力します.
 (詳細は,本の紹介(5)をご覧ください)


④飛行機の概念設計と3面図作成
 与えられた機体形状に対して空力データを推算し,性能要求値を満足する機体諸元(重量,翼面積等)を出力し,設計結果を3面図として表示します.模型飛行機から旅客機まで各種飛行機を設計できます.

(下記の機体3面図は,KMAPの解析結果で描いたものです.)

Aircraft_config1y120310a

Aircraft_config2y120310


Aircraft_config3y120310

 例として,800人乗りの超大型旅客機を試設計してみましょう.航続距離15,000km,離陸滑走路長3,000m以下,着陸滑走路長2,000m以下としてKMAPで設計した結果は次のようになりました.

800e

   航続距離 R =15,000km
   離陸滑走路長 sTO= 3,000m
   着陸滑走路長 Ld= 1,620m
   接地速度 VTD= 120kt

   離陸重量 WTO = 543tf
   着陸重量 WLD = 319tf
   自重 Wempty= 225tf
   燃料重量 Wfuel = 238tf
   乗員乗客+ペイロード Wfixed= 80tf
   離陸推力 (T)to= 118tf

   主翼面積 S = 824 m2
   スパン b = 78.6m
   アスペクト比 A = 7.5
   平均空力翼弦 CBAR= 11.4m
   前縁後退角(主翼) ΛLE= 41deg
   翼面荷重 WTO/S= 659kgf/m2
   推力重量比 (T/W)to= 0.218

 このように,離陸重量543トン,スパン(翼幅)78.6mの機体が得られました.KMAPでは3面図も上記のように簡単に描くことができます.

 また,KMAPでは設計と同時に空力微係数が推算されます.上記3面図の機体の場合は次のような結果となりました.
    <空力微係数推算結果(着陸形態)>
    CLα=0.1012(1/deg).................Cyβ=-0.01584(1/deg)
    CLδe=0.00540(1/deg)...............Cyδr=0.00304(1/deg)
    CLδf=0.0237(1/deg).................Clβ=-0.00463(1/deg)
    Cmα=-0.0272(1/deg)................Clδa=-0.001138(1/deg)
    Cmδe=-0.0203(1/deg)...............Clδr=0.0001355(1/deg)
    Cmδf=-0.00743(1/deg)..............Clp=-0.419(1/rad)
    Cmq=-27.0(1/rad)....................Clr=0.321(1/rad)
    Cmαdot=-8.57(1/rad)................Cnβ=0.00300(1/deg)
    k=0.0518(-)..........................Cnδa=-0.0000208(1/deg)
    CD0(F/UP,G/UP)=0.01667(-).......Cnδr=-0.001613(1/deg)
    CD0(F/DN,G/DN)=0.0507(-)........Cnp=-0.00438(1/rad)
    CD|δf|=0.001202(1/deg).............Cnr=-0.293(1/rad)

この空力微係数を用いて,KMAP内では飛行特性解析,制御則設計,シミュレーションなど各種の解析が簡単に行えます.


⑤一般制御系の設計解析
 飛行機以外の一般の制御系の設計解析も可能です.
  極・零点配置
  根軌跡
  ボード線図
  ベクトル軌跡
  各種フィルタ演算
  固有値計算
  リカッチ方程式計算
  最適制御
  H∞制御
など,古典制御から現代制御までの種々の設計法が準備されています.

 下記に航空機のピッチ角制御におけるLQI(サーボ系)の例を示します.縦系のピッチ角コマンドθm に対して機体のピッチ角θ を追従させる積分型最適制御系です.

Pitchlqiblockfigy081018_4
         飛行機のピッチ角LQI最適制御ブロック図
     (このブロック図をクリックすると大きく見ることができます)

 このときのシミュレーション結果を次に示します.ピッチ角θが目標値に良好に追従している様子がわかります.
 (詳細は,本の紹介(3)をご覧ください)

Pitchlqitimehistoryy081018

⑥Z接続法による制御系設計ツールについて
 Z接続法とは,制御系の情報をZ変数でつなぐことで制御系を構成していく方法です.これによって構成された制御系は,KMAPツールを用いてシステムの極・零点配置や周波数特性などを良好な特性にすることができます.
132y130319

 一般的に,システムの特性を表す伝達関数(入力に対する出力の特性をラプラス変換したもの)は上記のように,積分,1次遅れ,ハイパス,リードラグ,2次遅れ,2次遅れの微分,ノッチフィルタの要素の組み合わせで表すことができます.Z接続法では,この原理により,これらの各要素の入出力にZ番号を付与して,システム要素間の情報の流れを加減算することによって制御系を作り上げるものです.例題をいくつかご紹介します.

【例題1】航空機のラダー系の安定化制御
Y130319
         図1 航空機のラダー制御系ブロック図

 図1に示すラダー制御系について,ゲインKとリードラグ時定数T1およびT2を,Z接続法ゲイン最適化によりシステムを安定化するように決定してみましょう.KMAPのインプットデータは次のように簡単です.図1のブロック図を順番にZ番号で接続していくだけです.このデータの後に,求めるゲインが記述してある行数を定義しておきます.このケースでは,92,93,94行目です.

Y130319_2

 ゲイン探索の範囲を指定して解析を実行すると,100万回のゲインの組み合わせの中から最適解を表示します.図2は安定解の存在範囲で,図の中の黒い点が極の位置を示しています.

Y130319_3
            図2 安定な極の存在範囲

 得られたゲインを用いて,図1のRGAINを変動させて描いた根軌跡が図3です.左半面45°の非常に安定した位置に極が移動していることがわかります.

Rootlocosy130319
       図3 Z接続法ゲイン最適化により得られた根軌跡

E1y130409
E2y130409
E3y130409
E4y130409

 このように,KMAPを用いたZ接続法ゲイン最適化手法により,安定な制御系が簡単に設計できますので,ぜひ使ってみてください.



⑦船の運動解析
 下記の船の運動(付加質量,付加慣性モーメントを考慮)解析も可能です.
Shipmotion2_2


⑧自動車の運動解析
 下記は自動車の外乱運動特性の例です.
Carmotion1

Carmotion2


⑨ロボットの制御
 下記の2リンクマニピュレータ制御系解析も可能です.
Manipulator1

Manipulator2


⑩工作機械の制御
 下記の工作機械の位置決め制御系解析も可能です.
Machine_2


⑪振動工学の解析
 下記の自動車の上下回転運動などが簡単に解析できます.
Carvibration1


⑫構造物の弾性解析
 下記は有限要素法による片持ちはりの曲げ解析の例です.
Beambend1

Beambend2


⑬流体力学の解析
 下記は差分法による円柱まわりの流れの解析例です.
Cylinderflow


⑭最適化の解析法
 下記は準ニュートン法を用いた最適制御の解析例です.
Optmalcont1_2

Optmalcont2


⑮フライトシミュレータ実験
 金沢工業大学のフライトシミュレータはKMAPベースで動いています.上記①に述べたKMAPによる飛行運動シミュレーションで用いた同じデータをフライトシミュレータに入れると,直ちにフライトシミュレータ実験が可能となります.

 KMAPベースで動くシミュレータに関心のある方は,MHI 情報システムズ株式会社名古屋支社または日本BTAにご相談下さい.
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●フライトシミュレータ-金沢工業大学
--(目次へ戻る)--
 最新鋭の大型旅客機を模擬した本格的なフライトシミュレータで,KMAPで動いています.学生が設計した航空機のデータを入力することにより,飛行を体験しながら設計結果を評価できます.

P2280054


●機体構造とリグ装置
 大型旅客機の機体構造および舵面アクチュエータを模擬したリグ装置がフライトシミュレータと接続されています.

 これまでのフライトシミュレータは全て数学モデルによる飛行模擬でしたが,リグ装置を接続したことによりフィジカルシミュレーションが可能となり,舵面作動の遅れも含む,より実際の飛行環境に近い状態で飛行特性評価が可能です.

P1200031

P6050057
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●航空機の飛行制御システムについて
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 私は三菱重工時代に,T-2CCV研究機(10年間),QF-104無人機(2年間),F-2機(8年間),飛行制御系開発に従事しました.特に,T-2CCVとF-2については計画の最初から飛行試験までを経験しました.F-2では飛行試験のとりまとめ者となったことから,パイロットからいろいろな事を学ばせていただきました.

 飛行制御(操縦)システムは,飛行機開発の中で最も飛行安全に直結するシステムであり,絶対にシステムダウンしないようにする必要があります.これから飛行制御系開発にたずさわる技術者には,ぜひ安全な良い飛行機を開発して欲しいと思っています.
(研究テーマ“航空機の飛行制御”をご覧下さい)
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●本の紹介
--(目次へ戻る)--

Aircraft_wing_theoryy161118

●本の紹介(15)
 「飛行機の翼理論-揚力はどのように発生するのか(2次元ポテンシャル流厳密解による翼理論)」
片柳亮二 著,成山堂書店,2016年11月,(2800円+税)

 翼が飛行機を持ち上げる力(揚力)が発生する原理について,いろいろな説明がされてきたが,多くが間違っているともいわれている.その1つは,「翼の上下面の流れの等時間通過説」である.また,間違いではないが,「翼が動き出した際に翼のまわりに渦が取り残される結果として揚力が発生する」,というのが専門家による一般的な説明である.しかし,この説明では専門外の人が理解するのは難しいようである.

 本書では,翼の流れを,ポテンシャル流という手法で非常に簡単に解析ができることを述べ,翼まわりの渦を用いなくても,揚力の発生を説明できることを示す.これから翼理論について学ぼうと思っている方は,参考にして頂けると幸いである.


Stability_and_controly150918

●本の紹介(14)
 「設計法を学ぶ 飛行機の安定性と操縦性-知らないと設計できない改善のための17の方法」
片柳亮二 著,成山堂書店,2015年9月,(2600円+税)

 飛行機は主翼により機体重量を支え,エンジンにより抗力と釣り合って飛行するわけですが,この釣合方法を工夫することによって効率的に長距離を飛べるか(巡航性能),短い滑走路で飛べるか(離着陸性能)など,いわゆる飛行性能の良し悪しが決まります.この機体上下および前後の釣合飛行は,力学的には単純な質点運動(重心の並進運動)として取り扱われます.

 しかし,これだけでは飛行機を安定に飛行させることはできません.飛行機は重心の動きだけではなく,重心まわりの回転運動を伴うからです.この重心まわりの回転を釣り合わせるのが尾翼と操縦舵面です.回転運動により空中での飛行機の姿勢が変化すると,重力の作用する方向が変化して機体の上下,前後および左右の釣り合いが崩れて新たな運動が生じます.このように,飛行機の安定性・操縦性の問題を解くには,3次元空間において重心が3方向に移動する運動,重心まわりに回転する3つの運動,および機体姿勢を決める3つの姿勢角の合計9つの運動を解くことになり,その解は複雑です.

 さらに,問題を難しくしているのは,パイロットの操縦です.単に釣り合って飛んでいるだけではなく,パイロットの意図通りに機体が運動できなければ良い飛行機とはいえません.このように飛行機の安定性・操縦性の問題の奥は深いわけです.ところが,安定性・操縦性の良し悪しを解析する方法を説明した本はありますが,それを改善するにはどうしたらよいか具体的に書かれている本がほとんどありません.改善策を見いだすには実際に解析し,それを改善するための種々の案を数値的に確かめてみないとわかりません.

 本書は,長らく飛行機の安定性・操縦性の解析の仕事にたずさわってきた経験を基に,例題を通して飛行機の安定性・操縦性の解析と改善の方法についてまとめたものです.これから飛行機の運動について学ぼうと思っている方は,参考にして頂ければと思います.


Y140623

●本の紹介(13)
 「例題で学ぶ航空工学-旅客機,無人飛行機,模型飛行機,人力飛行機,鳥の飛行」
片柳亮二 著,成山堂書店,2014年6月,(2800円+税)
  動力飛行機が開発されてから110年程になりますが,今の飛行機をみてみると,鳥の形と必ずしも同じではないことがわかります.人間はなぜ飛行機に垂直尾翼をつけたのでしょうか.垂直尾翼があると,横風で機体があおられてしまうため,風が強い日には欠航してしまいます.逆に,鳥はなぜ垂直尾翼を持っていないのでしょうか.

 1940年代には,ノースロップ社が垂直尾翼のないフライングウイング機(全翼機といわれる主翼だけの機体)を開発しました.飛行には成功したものの,結局開発は途中で中止されています.1980年代末になると,飛行機の世界にも垂直尾翼のない機体が出現しました.その機体は,フライ•バイ•ワイヤといわれる飛行制御装置が開発された結果実現したものです.一方,鳥は尾羽である水平尾翼を回転させながら巧妙に垂直尾翼効果を作り出しています.その結果,鳥はあたかも体内にフライ•バイ•ワイヤと同じ制御回路があるのではないかと思える程,風の中を安定に飛ぶことができます.近年になって,人間の作った飛行機がやっと少し鳥に近づいたといえるのではないかと思います.
 
 飛行機の開発には10年近くかかるため,タイミングが悪いと一度も開発を経験できない技術者も多い中,幸運にも2つのプロジェクトで,飛行特性や飛行制御の担当として最初から最後の飛行試験までプロジェクトに参加させていただきました.具体的な仕事としては,コンピュータ制御の飛行機をいかに安定に飛ばすかということで初飛行も2度経験しています.当時は飛行機になぜ垂直尾翼があるのか,なぜ今のような形をしているかなど,飛行機そのものについてあまり考えたことはありませんでした.設計の現役を退いた今,あらためて飛行機はなぜそのようになっているのか,について考えるといろいろと疑問が湧いてきました.本書は,飛行機についてこれまで当たり前に思っていた事項を,あらためてなぜそのようになっているのかをわかりやすくまとめたもので,飛行機のいろいろな疑問について理解を深めることができるよう工夫しています.


Y140124

●本の紹介(12)
 「例題で学ぶ航空制御工学」
片柳亮二 著,技報堂出版,2014年1月,(2800円+税)
  メーカにおいて70年代前半から30年以上,航空機の設計に携わった経験を基に本書をまとめました.特に80年代前半には日本で初めてのコンピュータ制御による電気式操縦装置(フライ•バイ•ワイヤ)の航空機の開発に参加しました.

 最近,制御工学について次の2つのことを心配しています.その1つは,いわゆる“現代制御理論”による解析手法が制御系解析ソフトによって簡単に解が出せるようになったことで,従来から古典制御で基本的な特性として検討してきた極・零点,根軌跡,安定余裕などを確認しない設計者が多くなったことです.いくら理論的に安定が保証されていても,自分が設計したフィードバック補償器が制御対象の特性にどのような影響を及ぼしているのか,例えばゲインを2倍にしたら極はどのように動くのか,などを把握していなければ実システムで不具合が出た際にトラブルシュートもできません.

 もう1つは,制御工学の教科書についてです.制御工学は設計技術者にとって必須の知識となっていますが,制御は難しいと感じている学生が多いのは残念です.確かに制御工学の教科書を開くと難しい数式が並んでいたり,複素数の複雑な数式を手計算させられたり,どんなに有用であるかを理解する前に嫌いになってしまいます.また,実際の設計現場では使わないようなラウス,フルビッツの安定判別法などをいまだに詳細に説明している教科書も多いのも事実です.制御系が安定であるかどうかは,解析ツールを用いて自分のパソコンで簡単に計算できる時代です.制御解析は電卓のsin,cosの計算道具と同じように,エンジニアとしての1つのツールとして身につけてほしいものです.

 そこで本書では,航空機の飛行制御問題を題材として,制御工学が実際に役に立つことを理解してもらうことに重点を置いています.航空機の制御系は絶対に安全でなければなりません.設計した制御系はゲイン変動に対しても十分な安定余裕を持つように極・零点を配置することが重要です.本書は,安全な制御系を設計できる能力を身につけ,制御が実際に役に立つことを実感できるよう工夫しています.


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●本の紹介(11)
 「機械システム制御の実際-航空機,ロボット,工作機械,自動車,船および水中ビークル」
片柳亮二 著,産業図書,2013年9月,(2000円+税)
 本書は,各種(航空機,ロボット,工作機械,自動車,船および水中ビークル)の制御系設計問題をシステムの基礎的特性から応用までを具体例を通して解説したものです.

 これらの機械システムは,システム単独では安定性が必ずしも良好とは限らず,外乱に対して不安定となる場合もあります.安心して利用するためには,システムを安定化する制御装置を設計する必要があります.“機械システム制御”とは,機械システムの特性を実際に運用し易いように自動制御技術を用いて改善することです.例えば,航空機を操縦するのはパイロットが行うとしても,パイロットが手を放した場合には,自動的に機体の姿勢を一定に保ったり,高度,速度を維持したり,パイロットが操縦し易い特性にしておくなど,自動制御技術は人を支援してくれる賢い機器なのです.

 一方,機械システムに自動制御技術を適用する際には,注意すべき事項が2つあります.その1つは,制御は万能ではないことです.例えば,難しい模型のヘリコプタを空中静止させようとする場合は,ベテランの操縦者がうまく空中静止させることができないようなヘリコプタでは,自動制御を用いてもうまくいきません.制御対象の特性を制御し易いものにしておくことが必要です.もう1つは,自動制御機器を設計するには,制御対象の動特性(ダイナミクス)を十分に把握する必要があることです.システムは線形で動作するとは限らないし,想定外の事態に自動制御機器が逆に事態を悪化させることもあります.制御対象の特性をしっかり把握することが制御系設計には重要です.本書では,各章において機械システムの動特性を表す運動方程式を導出し,システムの基礎的事項を述べた後,制御系の設計解析の方法について具体例を通してわかりやすく解説しており,各種の機械システムについて基礎から応用までを学べる構成となっています.


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●本の紹介(10)
 「飛行機設計入門3(旅客機の形と性能)-どのような機体が開発されてきたのか」
片柳亮二 著,日刊工業新聞社,2012年11月,(2800円+税)
 本書は,飛行機設計入門シリーズの3冊目で,これまでどのようなジェット旅客機が開発されてきたかについて,機体形状と性能の観点から,分かり易く解説しています.

 現在世界ではジェット旅客機が約18,000機運用されており,その内の半分以上が100~200席の旅客機で,200席以上の機体と100席以下の機体がそれぞれ25%程度となっています.なぜこれだけの機数が必要かというと,1年間に日本の人口と同じ数の人が地球を1周するほど飛行機を利用しているからです.20年後には,航空旅客数が現在の2.6倍になると予測されています.そのため,ジェット旅客機は現在の2倍以上必要となり,しかもその旅客機の80%は新規需要になるとみられています.この数を確保するには,現在の製造能力を1.5倍程度に増やさないと対応できない機数です.

 このように将来に亘って多くの旅客機が必要となるわけですが,この内少しでも多くの日本産の旅客機を送り出すためには,エアラインにとって魅力ある旅客機を開発する必要があるます.そのためには,これまでどのような旅客機が開発され,エアラインに運用されてきたのかを知ることが重要です.どんなに性能が良くても,エアラインにとって魅力がなければ大空に舞い上がることはできず失敗作となります.新しい旅客機を開発するということは,メーカーにとっては会社の命運をかけた一大事業ですが,エアラインにとっても新機種導入は他社との競争に打ち勝つための一大決心事項です.英知を集めて開発した機体は,いずれも格好良く,古い機体と比べると性能は格段に向上しています.問題は,その機体が売れるかどうかです.このように失敗の許されない旅客機開発事業ですが,本書は開発された旅客機がなぜそのような形や大きさになっているのかを知ることができるようになっています.


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●本の紹介(9)
 「飛行機設計入門2(安定飛行理論)-飛行機を安定に飛ばすコツ」
片柳亮二 著,日刊工業新聞社,2012年6月,(2400円+税)
 本書は,2009年に出版した『飛行機設計入門-飛行機はどのように設計するのか』の続編で,飛行機を安定に飛ばすための工夫について,具体的な例で分かり易く解説しています.

 最近,各大学では模型飛行機を飛ばすことが盛んになっていますが,学生達が模型飛行機を作って飛ばすまでを観察していると,最初はうまく飛ばなかった飛行機を,コツをつかむと急にうまく飛ばせるようになります.何事でもそうですが,コツをつかむまでが大変です.試行錯誤の上,失敗を繰り返しながらそのコツをつかんでいくわけです.このときに理論的な解析作業も同時に行うと,理論と実践の融合によりしっかりと飛行力学の基礎が身につくと考えられます.

 人間が考え出した飛行機も安定に飛ぶための各種の工夫が施されています.本書は,飛ぶための工夫を理論的な裏付けを理解した上でしっかりと身につけてもらいたいとの想いからまとめたものです.単に作って飛ばすだけではなく,理論的に納得して解析を通して最適な飛行機を設計して飛ばすことができればいろいろな疑問が解消できます.その知識を基礎にして,新たに工夫された飛行機の開発も可能となります.著者は,企業において30年以上,飛行制御システムの開発を通して,飛行機を安定に飛ばすための工夫をしてきました.これから飛行機の安定飛行の理論について学び,自分なりの工夫を加えて新しい飛行機を設計しようという方は,本書により安定飛行のコツに触れていただければと思います.


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●本の紹介(8)
 「初学者のためのKMAP入門」
片柳亮二 著,産業図書,2012年1月,(1000円+税)
 “KMAP(ケーマップ)”とは“Katayanagi Motion Analysis Program”の略で,航空機の運動解析用に開発したソフトウェアです.これをバージョンアップする形で,ロボット,工作機械,自動車,船および水中ビークルなどの一般制御系解析や,振動工学の解析,構造物の弾性解析,流体解析,熱の流れの解析,最適化の解析など各種工学解析問題を扱えるツールとなっています.
 一般に市販されている制御系解析ソフトウェアは高価であり,初学者が学習のために利用するのは難しいものです.KMAPはホームページから無料でダウンロードできますので,ぜひ活用していただきたいと考えております.制御の知識は技術者にとっては必須なものとなっています.理論をわかっているだけでは問題解決にはなりません.実際の問題に対して解析ができなければ会社では役に立たちません.制御の基本は簡単です.難しい理論はさておき,KMAPを電卓のsin,cosと同様に単なる計算ツールとして,自分のパソコンで使えるようにしておけば仕事の幅が広がります.

 本書は,KMAPを初めて学ぶ人を対象に,どのような機能があるのか,どんな役に立つのか,その使い方などを平易に解説しています.KMAPの使い方を理解する早道は,まず簡単な例題を解いてみることです.制御工学は難しいと言って敬遠している方は,ぜひ読んでいただきたいと思っております.KMAPは,企業における多くの問題に対しても十分活用できる機能を有しています.操作も簡単で,初学者にも使い易いように工夫しています.


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●本の紹介(7)
 「航空機の飛行制御の実際-機械式からフライ•バイ•ワイヤへ」
片柳亮二 著,森北出版,2011年4月,(3200円+税)
 航空機の開発方法は,1970年代を境に大きく変化しました.それは1960年代後半に月に着陸したアポロ宇宙船のディジタルコンピュータを航空機に応用しようとする動きです.その後,従来の機械式操縦装置に代わって電気式操縦装置(フライ•バイ•ワイヤ)が用いられるようになりました.航空機設計チームには,飛行制御(コンピュータを用いた飛行操縦装置を設計)のグループが新に追加されて開発が行われるようになりました.制御を利用すると不安定な機体も安定に飛行できるようになるため,もはや空力グループだけでは機体の形状は決まらなくなったのです.このような背景から,現在では航空機の開発において“飛行制御”は非常に重要な分野となっています.

 パイロットが操縦する航空機は,操縦方法が状況により急変する可能性があり,無人機の開発とは違った難しさがあります.安全な飛行を実現するためには,航空機の安定性とパイロットによる操縦性に関する事項をバランス良く設計する必要があります.本書では,コンピュータ制御の電気式操縦装置の発達について概観して,飛行制御に関する数多くの適用事例について解説を加えました.開発の過程で多くのトラブルを経験し,それを克服して飛行実証された電気式操縦装置の機体には多くの工夫が施されています.

 本書は,企業において30年以上,飛行制御システムの開発に従事した経験を踏まえてまとめたものです.これから飛行制御技術を勉強しようという入門者には,ぜひ先達の知恵と努力に触れていただければと思います.


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●本の紹介(6)
 「KMAPによる工学解析入門」
片柳亮二 著,産業図書,2011年1月,(3100円+税)
 我々が利用している多くの製品は,複雑であるかどうかは別として,ほとんどがシステム製品です.小さいながらもその製品の中にはダイナミクスが巧妙に制御され,1つのシステムを構成しています.これらのシステム製品の設計・解析には各種の工学の知識が使われており,その意味からも,設計・解析技術者にとって工学解析は必須の知識となっています.

 しかし,各種手法は微積分方程式や偏微分方程式で表されることが多く,簡単な例題に対しても解析解を求めることは簡単ではありません.一般的な問題に対しては,有限要素法や差分法などの繰り返しシミュレーション手法により近似的に解を求めることが行われます.このような各種工学解析の手法を学ぼうとする場合には,実際に自分のパソコンで解析計算を行ってその効果を実体験するとより深く理解することができます.

 ところが,一般に市販されているソフトウェアは高価であり,入門者が演習のために利用するのは簡単ではありません.これを解消するために開発したのが解析プログラムKMAPです.KMAPは航空機の運動解析用に開発されたソフトウェアがベースとなっており,これをバージョンアップする形で,各種工学解析機能を追加したものです.

 本書で扱う工学解析は,制御工学,振動工学,構造物の弾性解析,流体力学,熱の流れの解析,最適化の解析です.KMAPを用いて各種問題を実際に解きながらこれらの工学解析手法を学ぶことができるようになっています.ぜひ使っていただけると幸いです.

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●本の紹介(5)
 「模型飛行機から旅客機まで KMAPによる飛行機設計演習」
片柳亮二 著,産業図書,2009年9月,(2600円+税)

 飛行機にはいろいろな形があります.使用目的が異なれば最適な形状は当然違ってきます.しかし,たとえば高速飛行のみに適した形状であれば,主翼および尾翼の面積が非常に小さな機体が最適となりますが,実際の飛行機はそのような形状にはなっていません.いずれの飛行機も離着陸する必要があり,低速時において安定な飛行が可能であること,また離陸時の引き起こし能力も十分にあることが必要だからです.

 幸いなことに,離着陸は空気密度の濃い地上で行われるために,主翼の揚力を増加させる工夫をすることにより,巡航時の速度の1/3~1/4の低速で飛行することができます.特に,着陸においては,抗力を増やした方が操縦性は良くなるため,フラップを大きく広げたり,降着装置を出すことが可能であるなど,いくつかの幸いが重なった結果で飛行機がうまく成り立っています.いずれにしても,実際にこれまで実現している飛行機は,種々の制約条件を満足した形状となっているわけです.

 本書は,飛行機を設計する場合その形状はどのように決まってくるのか,どのような条件をクリアすれば航空機として実現可能となるのかを演習を通して学べるようになっています.本書による飛行機設計演習は,自分のパソコンで実際に解くことができる“KMAP(ケーマップ)”というソフトウェアを用います.このソフトウェアはホームページからダウンロードできます.

 KMAPは航空機の運動解析用に開発されたソフトウェアで,これをバージョンアップする形で飛行機設計ルーチンを初心者にも簡単に使えるように機能追加したものです.KMAPでは,与えられた機体形状に対して空力微係数を推算し,性能要求値を満足する機体諸元(重量,翼面積等)を出力してくれます.

 従来の授業では,空力微係数を手計算させていたため,時間がかかり設計作業がなかなか進みませんでしたが,KMAPを用いることにより,設計作業に集中することができ,授業効率があがりました.KMAPを用いて飛行機設計を楽しんでいただけると幸いです.


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●本の紹介(4)
 「飛行機設計入門-飛行機はどのように設計するのか」
片柳亮二 著,日刊工業新聞社,2009年8月,(2400円+税)

 飛行機を見て格好いいと思う人は多いのではないでしょうか.地上の飛行機もそうですが,飛んでいる姿はさらに格好いい.なぜでしょうか.その理由は明確ではありませんが,恐らく空気の流れが最も自然となるような流線型を基調とした流れるような形,言い換えれば自然と調和した形になっているからではないかと思います.

 鳥が飛んでいるのを見るのも楽しいものです.人が鳥のように飛びたいと思ったのも無理からぬ話です.最初は鳥の翼のように羽ばたくことを考えましたが,結局不可能でした.今日のように固定の翼を利用したのはまさに人間の知恵でした.

 ライト兄弟は風洞試験装置(筒の中に空気を流して翼の力などを計測する装置)を作り,主翼の性能を実験で確かめたそうです.重たい飛行機が空中に浮き上がる原理は単純です.重量よりも大きい機体上方に働く力(揚力)を発生させ,後ろ向きに働く抵抗力(専門語では抗力という)よりも大きいエンジン推進力(推力という)が得られれば飛行機は飛ぶことができます.

 これほど飛行機が発達した理由は,固定翼が素晴らしい能力を持っているからです.その能力とは,畳1枚で自家用車1台を持ち上げられる効率のよい主翼であり,またそのときの抗力は揚力の1/15程度の小さな値であることです.例えば,100トンの飛行機は7トンの推力があれば飛行できます.

 また,飛行機の形は多種多様です.もし揚力に対する抗力最小の機体を追求していくと皆同じような形になってしまう可能性もありますが,実際にはそうなっていません.それは使用目的に応じて最適な形があるからです.

 本書は,飛行機を設計する場合,その形状はどのように決めるのかを解説したものです.一見複雑にみえる飛行機の形は驚くほど数少ないパラメータ(形状を決める数値)によって表されます.本書により,飛行機の形状設計法について学び,いろいろな飛行機をみるときの参考にして頂けると幸いです.

(以下,その一部を紹介します)
飛行機の形状はどのようなデータで決まるのでしょうか
 一見複雑に見える飛行機の形状ですが,この形状はどのようなデータ(パラメータ)で表すことができるのでしょうか.下図に示すように,一般的な飛行機の形は次の部分
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 ・主翼
 ・水平尾翼
 ・垂直尾翼
 ・胴体
から構成されます.

 この内,主翼と水平尾翼の形状は次の代表的な5個のパラメータで表すことができます(計10個).
 ①翼面積S
 ②後退角Λ
 ③テーパ比λ
 ④翼幅b
 ⑤上反角Γ

 垂直尾翼には上反角はないので上記⑤を除いた4個,また胴体は2個(胴体長,胴体径)が代表的なパラメータです.すなわち,合計16個が飛行機の形を決める代表的なパラメータです.

 ただし,細かく言うと,翼断面の形状,主翼と尾翼の距離,胴体に対する主翼および尾翼の上下位置等を決める必要がありますが,主要なものは上記16個のパラメータです.

 では,これらの主要なパラメータが変わると形状がどのように変化するかをみてみましょう.以下に示すのは,後退角Λ,テーパ比λ,翼幅bをそれぞれ変化させた場合の飛行機形状の変化です.ずいぶんイメージが変化することがわかります.

               (後退角Λのみを変えた場合)
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               (テーパ比λのみを変えた場合)
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               (翼幅bのみを変えた場合)
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●本の紹介(3)
 「KMAPによる制御工学演習」
片柳亮二 著,産業図書,2008年9月,(2000円+税)

 本書のKMAPは,航空機の運動解析用に開発されたソフトをバージョンアップする形で,制御系ルーチンを初心者にも簡単に使えるように機能追加したものです.

 制御工学は設計技術者にとって必須の知識です.本書は,基礎から現代制御まで実際の設計現場で活用可能な知識とツールを提供します.



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●本の紹介(2)
 「航空機の飛行力学と制御」
片柳亮二 著,森北出版,2007年11月,(3800円+税)

 本書は,航空機の飛行力学を理解するための基礎となる運動方程式や飛行特性解析式について,その導出過程を省略しないで詳細に記述し,また飛行制御の基礎事項についても例題を通して分かりやすく解説した入門書です.

 実際の航空機設計開発の現場の専門家にとっても知識の整理に役立つと思います.活用していただければ幸いです.



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●本の紹介(1)
 「航空機の運動解析プログラムKMAP」
片柳亮二 著,産業図書,2007年7月,(1900円+税)

 本書は,航空機の飛行運動シミュレーションや飛行制御系の安定性解析などの基礎的な解析をパソコン内で誰でも簡単に行うことができる「航空機の運動解析プログラムKMAP(ケーマップ)」のプログラム解説書です.(KMAPとは“Katayanagi Motion Analysis Program”の略) その特徴は以下です.

① KMAPのプログラムは,6自由度非線形運動シミュレーションと線形安定性解析の両方の結果を1つのインプットデータから得ることができる便利なプログラムです.従来は,制御系の安定性解析と6自由度シミュレーションは別々のプログラムを作成して解析する必要があり非効率でしたが,KMAPを用いることで同時作業が可能となりました.実際の航空機設計開発の現場でのセカンドチェック用ツールとしても活用していただければ幸いです.

② 航空機の運動方程式を学生に理解させることは比較的短時間で可能ですが,学生に自らプログラムを作成して運動シミュレーションや安定性解析を行わせることは難しいことです.KMAPを用いて例題を通して実際に計算を行うことで,より深く理解できると考えています.

③ 市販の制御系プログラムが非常に高価であり,学生や一般の人が自由に使えないこともKMAP開発の動機の一つになっています.

④ 金沢工業大学のフライトシミュレータ(上記参照)は,KMAPベースで動いています.従って,解析に用いた同じインプットデータを用いて,簡単にリアルタイムのシミュレータ実験を行うことができます.
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