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●設計解析プログラムKMAPについて
設計解析プログラムKMAP はフリーソフトです.航空機をはじめ,自動車,船,水中ビークル,ロボット,工作機械などの制御問題,また振動工学の問題,構造物の弾性解析,流体力学の問題,熱の流れの解析,最適化の解析などの各種工学解析も扱えるようになりました.
特に,制御系解析ツールはだれでも容易に使えるものが必要と考えています.制御系解析ツールは技術者にとっては電卓と同じで単なる計算道具です.難しい制御理論は後にして,とにかく使えるようにしておくと便利です.
KMAP最新バージョンは左上にある「KMAPのダウンロード」から入手できます.また,KMAPによる解析例を左記に掲載してありますのでご活用ください.
KMAPを実際に使うには,インプットデータを作成する必要があります.インプットデータの作成は,例題を通して学ぶと理解しやすいと思います.やさしいKMAPの使い方と,研究や仕事の参考例題を用意していますので,ご利用ください. (下記の機体3面図は,KMAPの解析結果で描いたものです.)



設計解析プログラムKMAPの使い方の無料講習会も行っています.ご希望があればお気軽にご連絡下さい.
(メールアドレスは本ホームページの左上にあります.)
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●KMAPは何ができるのか
KMAP(ケーマップ)は次のような機能を持っています.
①飛行機の運動シミュレーション
機体諸元(重量,慣性モーメント等),空力データ,制御則,パイロット操舵を入力することにより飛行機の運動がシミュレーションできます.
KMAPによる解析結果は,下記の図のようにExcel を利用して表示することができます.Excel 図は各種メニューが用意されています.(飛行機の三面図も簡単に描くことができます)

(下図のように,飛行機の運動をアニメーションで確認することもできます)

「Duch_roll.wmv」をクリックすると,
ダッチロール運動が再生できます
運動解析プログラムKMAPは,飛行機の運動解析,制御系設計解析(古典制御から現代制御まで),飛行機の概念設計(含む空力微係数推算)などの各種解析が可能です.
例えば,飛行機の運動方程式は知っていても自分でシミュレーションプログラムを作って解析するのは簡単ではありません.たとえ計算できても正しい答えであるかの検証は難しい作業です.KMAPは飛行機の運動方程式は既にプログラム化されていますので,ユーザーは空力微係数,機体諸元,アクチュエータ性能値などをインプットデータとして入力すれば直ちに運動シミュレーションができます.
また,飛行制御則もインプットデータにより定義することが可能です.KMAPは入門者に理論だけでなく,実際に計算を行うことで理解を深めて欲しいとの考えから開発したものです.ユーザが簡単に使えるように適宜改善しています.
②飛行機の制御系設計解析
制御系を含んだ飛行機の運動解析が容易に行えます.下記に簡単なピッチ角制御の例を示します.縦系のピッチ角コマンドθc に対して機体のピッチ角θ を追従させる制御系です.
機体ダイナミクス部は設定済みですのでユーザは作成不要で,機体の諸元,空力データ,制御則をインプットデータに書き込むことで解析が行えます.

飛行機のピッチ角制御ブロック図
上記制御則部のインプットデータを下記に示します.制御則の各ブロック図の入出力に示す Z および U 番号に対して,その関係式を記述します.
リードラグやリミッタ,またアクチュエータ等はKMAP内に各種関数として定義されているので,下記に示すように簡単に利用することができ,上記制御系がわずか13行のインプットデータで作成できます.

③飛行機の安定性・操縦性解析
飛行機の縦系および横・方向系の安定性・操縦性の解析結果が設計基準と比較して表示されます.インプットデータは上記①,②と同じデータであり,新たに入力する必要はありません.
④飛行機の空力データの推算
与えられた機体形状に対して空力データを推算して出力します.
(詳細は,本の紹介(5)をご覧ください)
⑤飛行機の概念設計と3面図作成
与えられた機体形状に対して空力データを推算し,性能要求値を満足する機体諸元(重量,翼面積等)を出力し,設計結果を3面図として表示します.模型飛行機から旅客機まで各種飛行機を設計できます.
例として,800人乗りの超大型旅客機を試設計してみましょう.航続距離15,000km,離陸滑走路長3,000m以下,着陸滑走路長2,000m以下としてKMAPで設計した結果は次のようになりました.

航続距離 R =15,000km
離陸滑走路長 sTO= 3,000m
着陸滑走路長 Ld= 1,620m
接地速度 VTD= 120kt
離陸重量 WTO = 543tf
着陸重量 WLD = 319tf
自重 Wempty= 225tf
燃料重量 Wfuel = 238tf
乗員乗客+ペイロード Wfixed= 80tf
離陸推力 (T)to= 118tf
主翼面積 S = 824 m2
スパン b = 78.6m
アスペクト比 A = 7.5
平均空力翼弦 CBAR= 11.4m
前縁後退角(主翼) ΛLE= 41deg
翼面荷重 WTO/S= 659kgf/m2
推力重量比 (T/W)to= 0.218
このように,離陸重量543トン,スパン(翼幅)78.6mの機体が得られました.KMAPでは3面図も上記のように簡単に描くことができます.
また,KMAPでは設計と同時に空力微係数が推算されます.上記3面図の機体の場合は次のような結果となりました.
<空力微係数推算結果(着陸形態)>
CLα=0.1012(1/deg).................Cyβ=-0.01584(1/deg)
CLδe=0.00540(1/deg)...............Cyδr=0.00304(1/deg)
CLδf=0.0237(1/deg).................Clβ=-0.00463(1/deg)
Cmα=-0.0272(1/deg)................Clδa=-0.001138(1/deg)
Cmδe=-0.0203(1/deg)...............Clδr=0.0001355(1/deg)
Cmδf=-0.00743(1/deg)..............Clp=-0.419(1/rad)
Cmq=-27.0(1/rad)....................Clr=0.321(1/rad)
Cmαdot=-8.57(1/rad)................Cnβ=0.00300(1/deg)
k=0.0518(-)..........................Cnδa=-0.0000208(1/deg)
CD0(F/UP,G/UP)=0.01667(-).......Cnδr=-0.001613(1/deg)
CD0(F/DN,G/DN)=0.0507(-)........Cnp=-0.00438(1/rad)
CD|δf|=0.001202(1/deg).............Cnr=-0.293(1/rad)
この空力微係数を用いて,KMAP内では飛行特性解析,制御則設計,シミュレーションなど各種の解析が簡単に行えます.
⑥一般制御系の設計解析
飛行機以外の一般の制御系の設計解析も可能です.
極・零点配置
根軌跡
ボード線図
ベクトル軌跡
各種フィルタ演算
固有値計算
リカッチ方程式計算
最適制御
H∞制御
など,古典制御から現代制御までの種々の設計法が準備されています.
下記に航空機のピッチ角制御におけるLQI(サーボ系)の例を示します.縦系のピッチ角コマンドθm に対して機体のピッチ角θ を追従させる積分型最適制御系です.

飛行機のピッチ角LQI最適制御ブロック図
(このブロック図をクリックすると大きく見ることができます)
このときのシミュレーション結果を次に示します.ピッチ角θが目標値に良好に追従している様子がわかります.
(詳細は,本の紹介(3)をご覧ください)

⑦船の運動解析
下記の船の運動(付加質量,付加慣性モーメントを考慮)解析も可能です.

⑧自動車の運動解析
下記は自動車の外乱運動特性の例です.


⑨ロボットの制御
下記の2リンクマニピュレータ制御系解析も可能です.


⑩工作機械の制御
下記の工作機械の位置決め制御系解析も可能です.

⑪振動工学の解析
下記の自動車の上下回転運動などが簡単に解析できます.

⑫構造物の弾性解析
下記は有限要素法による片持ちはりの曲げ解析の例です.


⑬流体力学の解析
下記は差分法による円柱まわりの流れの解析例です.

⑭最適化の解析法
下記は準ニュートン法を用いた最適制御の解析例です.


⑮フライトシミュレータ実験
金沢工業大学のフライトシミュレータはKMAPベースで動いています.上記①に述べたKMAPによる飛行運動シミュレーションで用いた同じデータをフライトシミュレータに入れると,直ちにフライトシミュレータ実験が可能となります.
KMAPベースで動くシミュレータに関心のある方は,名古屋菱重興産情報システム部または日本BTAにご相談下さい.
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●金沢工業大学のフライトシミュレータ
最新鋭の大型旅客機を模擬した本格的なフライトシミュレータを導入しました.学生が設計した航空機のデータをソフトウェアで組み込み,実際に体験しながら性能を評価できる設備です.

●機体構造とリグ装置
大型旅客機の機体構造および舵面アクチュエータを模擬したリグ装置がフライトシミュレータと接続されました.
これまでのフライトシミュレータは全て数学モデルによる飛行模擬でしたが,リグ装置を接続したことによりフィジカルシミュレーションが可能となり,舵面作動の遅れも含む,より実際の飛行環境に近い状態で飛行特性評価が行えるようになりました.


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●航空機の飛行制御システムについて
私は三菱重工時代に,T-2CCV研究機(10年間),QF-104無人機(2年間),F-2機(8年間),飛行制御系開発に従事しました.特に,T-2CCVとF-2については計画の最初から飛行試験までを経験しました.F-2では飛行試験のとりまとめ者となったことから,パイロットからいろいろな事を学ばせていただきました.
飛行制御(操縦)システムは,飛行機開発の中で最も飛行安全に直結するシステムであり,絶対にシステムダウンしないようにする必要があります.これから飛行制御系開発にたずさわる技術者には,ぜひ安全な良い飛行機を開発して欲しいと思っています.
(研究テーマ“航空機の飛行制御”をご覧下さい)
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●本の紹介(8)
「初学者のためのKMAP入門」,
片柳亮二 著,産業図書,2012年1月,(1000円+税)
“KMAP(ケーマップ)”とは“Katayanagi Motion Analysis Program”の略で,航空機の運動解析用に開発したソフトウェアです.これをバージョンアップする形で,ロボット,工作機械,自動車,船および水中ビークルなどの一般制御系解析や,振動工学の解析,構造物の弾性解析,流体解析,熱の流れの解析,最適化の解析など各種工学解析問題を扱えるツールとなっています.
一般に市販されている制御系解析ソフトウェアは高価であり,初学者が学習のために利用するのは難しいものです.KMAPはホームページから無料でダウンロードできますので,ぜひ活用していただきたいと考えております.制御の知識は技術者にとっては必須なものとなっています.理論をわかっているだけでは問題解決にはなりません.実際の問題に対して解析ができなければ会社では役に立たちません.制御の基本は簡単です.難しい理論はさておき,KMAPを電卓のsin,cosと同様に単なる計算ツールとして,自分のパソコンで使えるようにしておけば仕事の幅が広がります.
本書は,KMAPを初めて学ぶ人を対象に,どのような機能があるのか,どんな役に立つのか,その使い方などを平易に解説しています.KMAPの使い方を理解する早道は,まず簡単な例題を解いてみることです.制御工学は難しいと言って敬遠している方は,ぜひ読んでいただきたいと思っております.KMAPは,企業における多くの問題に対しても十分活用できる機能を有しています.操作も簡単で,初学者にも使い易いように工夫しています.

●本の紹介(7)
「航空機の飛行制御の実際-機械式からフライ•バイ•ワイヤへ」,
片柳亮二 著,森北出版,2011年4月,(3200円+税)
航空機の開発方法は,1970年代を境に大きく変化しました.それは1960年代後半に月に着陸したアポロ宇宙船のディジタルコンピュータを航空機に応用しようとする動きです.その後,従来の機械式操縦装置に代わって電気式操縦装置(フライ•バイ•ワイヤ)が用いられるようになりました.航空機設計チームには,飛行制御(コンピュータを用いた飛行操縦装置を設計)のグループが新に追加されて開発が行われるようになりました.制御を利用すると不安定な機体も安定に飛行できるようになるため,もはや空力グループだけでは機体の形状は決まらなくなったのです.このような背景から,現在では航空機の開発において“飛行制御”は非常に重要な分野となっています.
パイロットが操縦する航空機は,操縦方法が状況により急変する可能性があり,無人機の開発とは違った難しさがあります.安全な飛行を実現するためには,航空機の安定性とパイロットによる操縦性に関する事項をバランス良く設計する必要があります.本書では,コンピュータ制御の電気式操縦装置の発達について概観して,飛行制御に関する数多くの適用事例について解説を加えました.開発の過程で多くのトラブルを経験し,それを克服して飛行実証された電気式操縦装置の機体には多くの工夫が施されています.
本書は,企業において30年以上,飛行制御システムの開発に従事した経験を踏まえてまとめたものです.これから飛行制御技術を勉強しようという入門者には,ぜひ先達の知恵と努力に触れていただければと思います.

●本の紹介(6)
「KMAPによる工学解析入門」,
片柳亮二 著,産業図書,2011年1月,(3100円+税)
我々が利用している多くの製品は,複雑であるかどうかは別として,ほとんどがシステム製品です.小さいながらもその製品の中にはダイナミクスが巧妙に制御され,1つのシステムを構成しています.これらのシステム製品の設計・解析には各種の工学の知識が使われており,その意味からも,設計・解析技術者にとって工学解析は必須の知識となっています.
しかし,各種手法は微積分方程式や偏微分方程式で表されることが多く,簡単な例題に対しても解析解を求めることは簡単ではありません.一般的な問題に対しては,有限要素法や差分法などの繰り返しシミュレーション手法により近似的に解を求めることが行われます.このような各種工学解析の手法を学ぼうとする場合には,実際に自分のパソコンで解析計算を行ってその効果を実体験するとより深く理解することができます.
ところが,一般に市販されているソフトウェアは高価であり,入門者が演習のために利用するのは簡単ではありません.これを解消するために開発したのが解析プログラムKMAPです.KMAPは航空機の運動解析用に開発されたソフトウェアがベースとなっており,これをバージョンアップする形で,各種工学解析機能を追加したものです.
本書で扱う工学解析は,制御工学,振動工学,構造物の弾性解析,流体力学,熱の流れの解析,最適化の解析です.KMAPを用いて各種問題を実際に解きながらこれらの工学解析手法を学ぶことができるようになっています.ぜひ使っていただけると幸いです.

●本の紹介(5)
「模型飛行機から旅客機まで KMAPによる飛行機設計演習」,
片柳亮二 著,産業図書,2009年9月,(2600円+税)
飛行機にはいろいろな形があります.使用目的が異なれば最適な形状は当然違ってきます.しかし,たとえば高速飛行のみに適した形状であれば,主翼および尾翼の面積が非常に小さな機体が最適となりますが,実際の飛行機はそのような形状にはなっていません.いずれの飛行機も離着陸する必要があり,低速時において安定な飛行が可能であること,また離陸時の引き起こし能力も十分にあることが必要だからです.
幸いなことに,離着陸は空気密度の濃い地上で行われるために,主翼の揚力を増加させる工夫をすることにより,巡航時の速度の1/3~1/4の低速で飛行することができます.特に,着陸においては,抗力を増やした方が操縦性は良くなるため,フラップを大きく広げたり,降着装置を出すことが可能であるなど,いくつかの幸いが重なった結果で飛行機がうまく成り立っています.いずれにしても,実際にこれまで実現している飛行機は,種々の制約条件を満足した形状となっているわけです.
本書は,飛行機を設計する場合その形状はどのように決まってくるのか,どのような条件をクリアすれば航空機として実現可能となるのかを演習を通して学べるようになっています.本書による飛行機設計演習は,自分のパソコンで実際に解くことができる“KMAP(ケーマップ)”というソフトウェアを用います.このソフトウェアはホームページからダウンロードできます.
KMAPは航空機の運動解析用に開発されたソフトウェアで,これをバージョンアップする形で飛行機設計ルーチンを初心者にも簡単に使えるように機能追加したものです.KMAPでは,与えられた機体形状に対して空力微係数を推算し,性能要求値を満足する機体諸元(重量,翼面積等)を出力してくれます.
従来の授業では,空力微係数を手計算させていたため,時間がかかり設計作業がなかなか進みませんでしたが,KMAPを用いることにより,設計作業に集中することができ,授業効率があがりました.KMAPを用いて飛行機設計を楽しんでいただけると幸いです.

●本の紹介(4)
「飛行機設計入門-飛行機はどのように設計するのか」,
片柳亮二 著,日刊工業新聞社,2009年8月,(2400円+税)
飛行機を見て格好いいと思う人は多いのではないでしょうか.地上の飛行機もそうですが,飛んでいる姿はさらに格好いい.なぜでしょうか.その理由は明確ではありませんが,恐らく空気の流れが最も自然となるような流線型を基調とした流れるような形,言い換えれば自然と調和した形になっているからではないかと思います.
鳥が飛んでいるのを見るのも楽しいものです.人が鳥のように飛びたいと思ったのも無理からぬ話です.最初は鳥の翼のように羽ばたくことを考えましたが,結局不可能でした.今日のように固定の翼を利用したのはまさに人間の知恵でした.
ライト兄弟は風洞試験装置(筒の中に空気を流して翼の力などを計測する装置)を作り,主翼の性能を実験で確かめたそうです.重たい飛行機が空中に浮き上がる原理は単純です.重量よりも大きい機体上方に働く力(揚力)を発生させ,後ろ向きに働く抵抗力(専門語では抗力という)よりも大きいエンジン推進力(推力という)が得られれば飛行機は飛ぶことができます.
これほど飛行機が発達した理由は,固定翼が素晴らしい能力を持っているからです.その能力とは,畳1枚で自家用車1台を持ち上げられる効率のよい主翼であり,またそのときの抗力は揚力の1/15程度の小さな値であることです.例えば,100トンの飛行機は7トンの推力があれば飛行できます.
また,飛行機の形は多種多様です.もし揚力に対する抗力最小の機体を追求していくと皆同じような形になってしまう可能性もありますが,実際にはそうなっていません.それは使用目的に応じて最適な形があるからです.
本書は,飛行機を設計する場合,その形状はどのように決めるのかを解説したものです.一見複雑にみえる飛行機の形は驚くほど数少ないパラメータ(形状を決める数値)によって表されます.本書により,飛行機の形状設計法について学び,いろいろな飛行機をみるときの参考にして頂けると幸いです.
(以下,その一部を紹介します)
飛行機の形状はどのようなデータで決まるのでしょうか
一見複雑に見える飛行機の形状ですが,この形状はどのようなデータ(パラメータ)で表すことができるのでしょうか.下図に示すように,一般的な飛行機の形は次の部分

・主翼
・水平尾翼
・垂直尾翼
・胴体
から構成されます.
この内,主翼と水平尾翼の形状は次の代表的な5個のパラメータで表すことができます(計10個).
①翼面積S
②後退角Λ
③テーパ比λ
④翼幅b
⑤上反角Γ
垂直尾翼には上反角はないので上記⑤を除いた4個,また胴体は2個(胴体長,胴体径)が代表的なパラメータです.すなわち,合計16個が飛行機の形を決める代表的なパラメータです.
ただし,細かく言うと,翼断面の形状,主翼と尾翼の距離,胴体に対する主翼および尾翼の上下位置等を決める必要がありますが,主要なものは上記16個のパラメータです.
では,これらの主要なパラメータが変わると形状がどのように変化するかをみてみましょう.以下に示すのは,後退角Λ,テーパ比λ,翼幅bをそれぞれ変化させた場合の飛行機形状の変化です.ずいぶんイメージが変化することがわかります.
(後退角Λのみを変えた場合)

(テーパ比λのみを変えた場合)

(翼幅bのみを変えた場合)


●本の紹介(3)
「KMAPによる制御工学演習」,
片柳亮二 著,産業図書,2008年9月,(2000円+税)
本書のKMAPは,航空機の運動解析用に開発されたソフトをバージョンアップする形で,制御系ルーチンを初心者にも簡単に使えるように機能追加したものです.
制御工学は設計技術者にとって必須の知識です.本書は,基礎から現代制御まで実際の設計現場で活用可能な知識とツールを提供します.

●本の紹介(2)
「航空機の飛行力学と制御」,
片柳亮二 著,森北出版,2007年11月,(3800円+税)
本書は,航空機の飛行力学を理解するための基礎となる運動方程式や飛行特性解析式について,その導出過程を省略しないで詳細に記述し,また飛行制御の基礎事項についても例題を通して分かりやすく解説した入門書です.
実際の航空機設計開発の現場の専門家にとっても知識の整理に役立つと思います.活用していただければ幸いです.

●本の紹介(1)
「航空機の運動解析プログラムKMAP」,
片柳亮二 著,産業図書,2007年7月,(1900円+税)
本書は,航空機の飛行運動シミュレーションや飛行制御系の安定性解析などの基礎的な解析をパソコン内で誰でも簡単に行うことができる「航空機の運動解析プログラムKMAP(ケーマップ)」のプログラム解説書です.(KMAPとは“Katayanagi Motion Analysis Program”の略) その特徴は以下です.
① KMAPのプログラムは,6自由度非線形運動シミュレーションと線形安定性解析の両方の結果を1つのインプットデータから得ることができる便利なプログラムです.従来は,制御系の安定性解析と6自由度シミュレーションは別々のプログラムを作成して解析する必要があり非効率でしたが,KMAPを用いることで同時作業が可能となりました.実際の航空機設計開発の現場でのセカンドチェック用ツールとしても活用していただければ幸いです.
② 航空機の運動方程式を学生に理解させることは比較的短時間で可能ですが,学生に自らプログラムを作成して運動シミュレーションや安定性解析を行わせることは難しいことです.KMAPを用いて例題を通して実際に計算を行うことで,より深く理解できると考えています.
③ 市販の制御系プログラムが非常に高価であり,学生や一般の人が自由に使えないこともKMAP開発の動機の一つになっています.
④ 金沢工業大学のフライトシミュレータ(上記参照)は,KMAPベースで動いています.従って,解析に用いた同じインプットデータを用いて,簡単にリアルタイムのシミュレータ実験を行うことができます.
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●金沢工業大学 工学部 航空システム工学科は,2012年度は1年生59名,2年生65名,3年生61名,4年生65名で教員は9名です.
<専門・キーワード> : 研究テーマ例
・片柳亮二教授<航空機制御,飛行力学>
航空機の最新飛行制御システムの開発,操縦シミュレータ
・藤 秀実教授<反応流体工学,ガスタービン>
ガスタービンサイクルの研究,ガスタービン排ガスクリーン化,燃焼器高温・高負荷化の研究,タービン冷却の研究,ジェットエンジン騒音低減の研究
・土屋利明教授<ガスタービン,熱エネルギー>
航空用ガスタービン(ジェットエンジン),マイクロガスタービンに関する特性評価研究,ガスタービンの燃料多様化研究
・廣瀬康夫教授<革新的複合材構造,複合材構造の耐久性>
発泡サンドイッチパネル構造の実用化研究,き裂進展抑制手法の研究・開発
・吉田啓史郎准教授<航空機・宇宙機の構造力学>
可変翼構造に関する構造力学的研究,高強度膜材料の展開構造物への適用に関する研究
・小栗和幸教授<航空機材料>
航空機機体構造材料の表面処理技術の開発と評価,航空機窓材料の電磁波シールド技術の開発と評価
・岡本正人教授<空気力学,翼特性,生物の飛行・泳法>
超低レイノルズ数領域の翼特性の研究,火星探査航空機の翼特性の研究,小型無人機・羽ばたき機の開発
・赤坂剛史講師<空気力学,小型機の飛行特性>
パラグライダーの空力・飛行性研究,小型無人飛行体の自律飛行研究,ヘリコプターの低騒音化研究
・佐々木大輔講師<計算空気力学>
航空機設計における多目的最適化に関する研究